■資格スクール、資格専門教育機関を検証する
資格取得ブームに伴い、現在多くの資格スクールが設立されている。数十年ほど前は
資格スクールと言えば、都心にしかなかった。それもとても一等地とはいえないような
場所にあった。資格スクールに通おうと思ったら、わざわざ都心の不便な場所まで出掛
けなければならなかった。私が、20年前中小企業診断士の資格を目指していたとき、
横浜の会社からわざわざ赤坂のマンパワーまで通った。しかし,今や資格スクールは
全国どこの都市にまである。北海道から沖縄まで資格スクールのない都市はない。地方
に住んでいる人でも、容易に資格試験に取り組める環境が整ったのである。
また、資格スクール業界においても技術化の進展は目覚しい。かつて、講師が東京や大
阪の会場を掛け持ちするようなことが普通だった。今はどの教室にも大型モニターが設
置されていて、受講生たちはそのモニターを見ながら勉強できる。最初から講義には出
席しないで、ビデオブースで黙々と学習を続ける者もいる。さらに、インターネットを
使ったWEB講座が開設されている。そのため、いつでもリアルタイムでの講義を受け
ることが可能になった。若干高めの受講料を支払いさえすれば、資格スクールに通わな
くてもいつでも期間限定でダウンロードして何度でも講義を聴ける。通信教育は、安価
でマイペースで取り組めるため勤労者には根強い人気がある。資格試験に取り組みやす
い環境が整ったため、昔のように独学で学ぶ人は少なくなった。現代は、資格試験の勉
強といっても、自分にあった勉強方法を各々選択できる時代である。
それでは、各資格スクールについての特徴を挙げて検証してみたい。
■会計系資格No1の実績を誇る資格の学校TAC
数ある資格スクールの中でも、学生支持率No1といわれる資格スクールである。経営
者が公認会計士試験合格者で、公認会計士試験や税理士試験等会計系の資格試験に、特
に強い。取扱っている資格は、法文系資格、IT系資格などである。また、司法試験、
司法書士、弁理士等の法律系資格は扱っていない。TACは資格スクールとして、初め
て平成15年一部上場を 果たした。学校は全国の主要都市に35校ほどある。学校の
ほとんどが、都心の高層ビルに教室を構え、受講生も大学生が大半である。そのため、
TACには若々しく明るいイメージがある。TACは従来の資格スクールの暗い、夜間
学校的なイメージを完全に払拭してしまった。
数十年前は、資格スクールというと、路地裏の暗いイメージがあった。通っている学生
も貧乏学生が多く、資格試験だけに人生を掛けているような悲壮感を漂わせていた。そ
れが、TACは、あたかも大学のキャンパスの延長のような感じである。学生が楽しみ
ながら資格試験を目指している。そもそも、難関資格を目指すような学生は裕福な子弟
が多いのだが、TACの戦略は、会社のイメージアップ上大成功を収めている。
私たちの時代は、資格試験=ツライものだった。しかし、今の受講生は、資格にチャレ
ンジ=楽しみのような感じである。これは、個々の価値観にもよるだろうが、明らか
人生の全てを資格に掛けているような悲壮感は、彼らからは一切伝わってこない。
TACに通えば、必ず合格できるという訳ではないのだが、資格についてのイメージを
根本から変えてしまったTACの功績は大きいかもしれない
■法律系資格のLEC
会計系資格の横綱がTACならば、法律系資格の横綱はLECである。司法試験、司法
書士、弁理士など法律系資格に強い。経営者は、司法試験合格者である。資格業界では
会計系のTAC、法律系のLECという通念、一般常識がある。
平成16年4月、資格スクールとして初めて、株式会社のLEC大学を開校した。この
学校は、大学卒業と同時に資格取得を目指すものである。難関資格を取得するためには、
今やダブルスクールが常識である。しかし、LEC大学の場合は、資格の講義自体が単
位として認められるので、資格取得と大学卒業を両方目指す学生にとっては、一挙両得
である。かつて、合格者実績を水増ししてパンフレット等に掲載していた等の汚点もあ
った。
LECの戦略は、会計系資格を中心にしているるTACとは戦略が異なる。近年、法律
系資格だけでなく、公認会計士や税理士などの会計系資格にも進出し始めている。しかし、
あくまで売りは法律系資格である。特に、司法試験や司法書士を目指す受験生の間では
圧倒的に支持されている。LECも全国規模で資格ビジネスを展開しており、学校の数
は現在40校程度ある。
■簿記検定、会計系の資格に定評ある大原簿記学校
早い時期から、全国展開を目指してきたTAC、LECと異なり、大原簿記学校は元々、
勤労者向けの簿記学校としてスタートした。簿記を勉強した人間なら誰でも、「簿記と
言えば大原」というほど「簿記の大原」の愛称で広く親しまれている。簿記の延長線上
には、税理士や公認会計士資格がある関係上、やはり会計系資格に強い。
TACが、慶應や早稲田の学生の他、比較的経済的に恵まれている大学の生徒が多いの
に比べ、大原は場所柄、中央や明治などの学生が多い。元々、簿記学校であるために、
今でも専門学校生や就労者、主婦の受講生も多い。傾向としては、簿記を取得後、改め
て税理士を目指す人のようなタイプが多い。イメージとしてはTACほどの派手さはな
く、昔ながらの資格学校の堅実なイメージである。取扱い資格は、主に会計系全般である。
法律系資格は、司法書士講座はあるが、司法試験や不動産鑑定士、弁理士等は開講して
いない。会計関連の資格やIT系資格に限定しているようだ。各学校もTACやLEC
ほど、手広く全国展開はしていないが、主要都市に約30校ほどである。地味に堅実にが、
モットーの資格スクールである。
■経営者の強烈なカリスマ性の光るWセミナー
数ある資格スクールの中でも、経営者の強烈な個性が光る資格スクールである。校長の
成川豊彦氏は、全国紙の記者として活躍した後、公認会計士試験に合格。同年、Wセミナ
ーを設立し、年間10万人以上の学生・社会人を対象に短期合格法、会計学、憲法、経済学、
商品学などを受講している。文字通り、資格試験業界のカリスマである。取扱い資格は、
法文系全般である。
公認会計士、税理士だけでなく、司法試験や司法書士、不動産鑑定士、公務員試験等も手
広く扱っている。学校も全国に展開しているが、TACやLECほどの規模ではない。基
本的に首都圏でなければ、通学は難しいようだ。WEB講座も開講している。
■診断士、社労士受験のパイオニア、社会人のキャリアアップに強い
日本マンパワー
中小企業診断士、社会保険労務士受験のパイオニアといえば、日本マンパワーである。
筆者は、20代の頃、日経新聞で日本マンパワーの診断士通信講座の記事を見て、診断士
受験を決意したのだが、当時は診断士や社労士といえば、マンパワーと企業経営通信学院
(現在はない)が一般的だったのである。それ以外の資格スクールでは診断士の扱いはま
だなかった。
当時、診断士、社労士受験校はマンパワーの寡占状態だったので、かなり収益に貢献し
たのではないかと推察する。その後、診断士講座や社労士講座には、他の後発組の資格ス
クールからも参入が続出した。数年前の一連の政治家への資金提供問題等で、会社として
のダーティな一面も垣間見せた。日本マンパワーの特徴は、取扱い資格をあくまで診断士、
社労士に絞り込んでいることである。キャラカウンセラー講座や、宅建、行政書士等も取
り扱いはあるが、あくまで主力は診断士と社労士である。そのため、受講生は圧倒的に社
会人が多い。日本マンパワーの場合、元々就職斡旋業務からスタートした経緯があり、キ
ャリアアップの一環として、資格取得講座を開設して現在に至ったと考えられる。講座開
講も東京、大阪、名古屋、福岡の4箇所である。勤労者向けのため通信講座も充実している。
■地味ながら会計系に強いダイエックス
ダイエックスの全身は、大栄教育システムである。会計系資格に強く、簿記や税理士受験
者が多い。司法試験、公認会計士、不動産鑑定士といった難関資格は取扱いっていない。
簿記、行政書士、宅建、社労士、診断士などの社会人向けの資格に絞り込んでいる。各ス
クールも関東のみに14校である。ダイエックスはあくまで、エリアや資格を絞り込んだ
戦略を取っている。資格スクールの中では、比較的、地味で堅実なスクールである。