資格士業者の需要と供給について
現在、多くの資格士業において供給過剰の状態が続いている。
一方、政府は資格士業者の数が全ての業界で不足しているので、さらに多くの有資
格者を作ろうという政策を掲げている。近年の、法科大学院の新設や公認会計士試
験や不動産鑑定士試験の簡素化の動きは、その流れを受けたものである。
政府は、将来的に司法試験合格者を年間3,000人、公認会計士を2018年
頃までに、5万人に増やす計画を目指している。
欧米に比べて、圧倒的に絶対数の少ない弁護士や公認会計士を増やすのが目的な
のだが、、実際はそれほど多くの弁護士や公認会計士を作ったとしても、有資格者を
賄うだけの十分なフィールドがあるか疑問である。
また、有資格者の量産体制を取れば、必ず質の低下の問題が懸念される。
弁護士は、日本人が欧米人ほど訴訟を好まない民族である以上、将来的に供給過多
になることも予想される。会計士なども監査法人の受け皿には一定の数があるために、
全ての会計士試験合格者が、監査法人に就職できる訳ではないなどの問題も残る。
しかし、これは逆に言うと、有資格者にとってチャンスの時代でもある。
弁護士も会計士も、法曹界や会計の世界にフィールドを限定せずに、他に活躍の場を
求めれば、フィールドが現在よりも広がる期待はある。
例えば、企業内弁護士や企業内会計士、会社経営者、戦略立案者等への転身は有資
格者にとって、資格が強い武器になる。
しかし、総じて見ると、どの資格業界でも有資格者の飽和状態が続き、仕事がなく生活
すらままならない有資格士者が多数増えることが予想される。
税理士登録者の数は、現在7万人を超える勢いである。行政書士、社会保険労務士の
試験合格者も、年々爆発的に増え続けている。社労士などは、少子高齢化社会の進展
で時代のニーズが高いといわれているが、実態の仕事のクライアントは中小企業なので、
十分な仕事にありつけない社労士も多い。
政府は有資格者を増やす計画だけではなく、有資格者の需要と供給のバランスに
ついても、真剣に考える時期に来ている。有資格者という名のフリーターやニートが、
街に蔓延するような状態は、社会にとってもけっして望ましい状態ではない。